
時候の挨拶について月別に特集しておりますが、今回は6月に用いられる時候の挨拶に的をしぼっていこうとおもいます。
職場では手紙を書く機会がある私でございますが、取引先のお客様とお会いすると当たり前のように「梅雨嫌ですよね?」と言われることが多かった経験を踏まえて、梅雨に差し出す際の『時候の挨拶』で雨を連想させたくなかったりするんですよね。
そうした思いから6月の時候の挨拶は調べに調べた経験がございます。また梅雨に関わる季節の挨拶を用いた際にはできるだけポジティブな表現へつなげるよう工夫することができるようになりました。
豊富な例文を意識しておりますので是非とも参考にしてくださいませ🙇🏻
6月の時候の挨拶~基本~

では、6月に用いる時候挨拶の基本的な事項を見ていく前に、まずご自身が誰にどのような手紙を差し出すか確認することが大切となります。
なぜなら、差し出す相手によってどのような時候の挨拶を用いるかは異なってくるかです。
ここでは以下のような場合に分類して、それぞれの場合に使う時候の挨拶をご紹介していきますね。
◇固さが必要な手紙の場合
◇一般的な手紙の場合
◇フランクな手紙の場合
固さが必要な手紙の場合~漢語調~
いきなり漢語調と難しい言葉がでてきましたが、安心してください(笑) 覚える必要はありませんので6月を表す言葉ぐらいで大丈夫です。けれども、どういった意味なのかはイメージできるとよいでしょう。
こちらは企業間で手紙をやりとりする場合や目上のお相手へと手紙を差し出す場合に用いる時候の挨拶となります。
例 | 読み方 | 意味 | 時期の目安 |
---|---|---|---|
初夏の候 | しょかのこう | 夏の訪れを感じる季節になったこの頃。ここでの夏は暦をさし、実際の天候の夏ではない | 5月初旬~6月初旬 |
向暑の候 | こうしょのこう | 夏に入ろうとしている今日この頃 | 5月中旬~6月全般 |
入梅の候 | にゅうばいのこう | 梅雨に入ったこの頃、6月11日頃 | 6月上旬(梅雨入りを確認する必要)~6月中旬 |
短夜の候 | みじかよのこう | 年間通じて最も夜が短いこの頃 | 6月中旬 |
梅雨晴れの候 | つゆはれのこう | 梅雨の合間の晴れのこと | 6月中旬~6月下旬 |
長雨の候 | ながあめのこう | 長く雨が降る梅雨のこの頃、 | 6月中旬~6月下旬 |
梅雨の候 | ばいうのこう・つゆのこう | 梅雨を感じるこの頃、 | 6月中旬~6月下旬 |
夏至の候 | げしのこう | 年間を通じて最も昼が長い日、二十四節季の中の1つ(6/21~7/6頃) | 6月下旬~7月上旬(6/21~7/6頃) |
向夏の候 | こうかのこう | 夏にむかっているこの頃、 | 6月下旬~7月上旬 |

・上の単語に「の候」「みぎり」や「の折」「の折柄」を加えればオッケーだよ
・用いられる時期は少し幅があるので確認しておこう!
一般的な手紙の場合~和語調~
上の漢語調と比べるとやや長い言い回しになることが多いでしょう。目上の方に手紙を差し出す場合はもちろんですが、多くの方に向けて丁寧な手紙を差し出すにはこちらの形がよいでしょうね。
時期目安を書いておりますがあくまでも地域柄や手紙がお相手のもとに届く日の前後の天候を考慮するとなおよいでしょうね。
例 | 時期の目安 |
---|---|
今年も衣替えの季節となりました。 | 上旬頃 |
入梅に近づき不安定な空模様が続いておりますが、 | 上旬頃 |
入梅の頃となり、じめじめとした雨の日が続いております。 | 中旬頃 |
いよいよ田植えの季節となりました。 | 中旬頃 |
入梅となりましたが雨が少なく、今年は空梅雨のようです。 | 中旬頃 |
梅雨寒ながら、吹く風には夏の匂いを感じるようになりました。 | 中旬~下旬 |
梅雨明けを待たれる日が続きますが、いかがお過ごしですか。 | 中旬~下旬 |
梅雨の時節柄、校庭のあじさいが色濃くなっております。 | 中旬~下旬 |
吹く風も夏めいて参りました。 | 下旬 |
フランクな手紙の場合~和語調~
さあ、ここからは普段の言葉遣いに近いものですのでイメージもしやすくなりますよ。 皆様も6月になると目にする光景を想像しながらぜひ考えてみましょう!
●梅雨入りが近づいてきて、鬱々たる気分になります。
●連日の雨も一休み、久々の晴天となります。
●今年はもう半分が過ぎますが、
●まだ6月の末とはいえ、例年にない厳しい暑さにおそわれています。
●梅雨の晴れ間に見えたの青空に心がすっきりしました。
●ご近所の軒先にてるてる坊主がぶらさがっております。
6月を表す単語やイベント
例 | 読み方 | 意味 |
---|---|---|
田植え | たうえ | 苗を植えていく作業 |
早苗田 | さなえだ | 田植えがおわった田んぼ |
てるてる坊主 | てるてるぼうず | 晴れることを祈って飾る紙や布で作った人形。雨が続く梅雨に飾ることが多い |
旦月・風待月・常夏月・弥涼暮月・皆仕月 | たんげつ・かぜまちづき・とこなつづき・いすずくれづき・みなしつき | 6月 |
梅雨 | つゆ | 5月下旬頃~7月にかけて雨の多い時期のこと(全国各地で異なるため確認したほうがよい) |
あじさい | あじさい | 5月下旬~7月頃にかけて見ごろを迎える花。梅雨時をあらわす花として知られている。(全国各地で異なるため確認したほうがよい) |
衣替え | ころもがえ | 天気や気候に合わせて身に着ける衣類を替える作業。年間で数回ありますが6月にも行われることが多い(全国各地で異なるため確認したほうがよい) |
~使い方~ 完成形 ➡ 「花壇のあじさいが、雨の中でも美しく感じる今日この頃、」 6月を表す文章や言い回しに「~の今日この頃、~昨日今日、~日が続いておりますが、~季節になりました。」を合わせて用いると完成です!! あとは差し出すお相手との関係性や肌感を考慮して微調整を意識していきましょう!!


6月に使える時候の挨拶をシチュエーション別に
ここからは6月の季節の挨拶を取り入れた手紙の例を紹介していきますよ。せっかくですので「ジューンブライド」「父の日」に関連した例にしました。ほんの一例ではありますが参考にしてみてください。
ビジネスで送る手紙の場合
「お取引先(知人)の結婚祝いの手紙」の一例です!あらたまった形を意識した方がよい例です。 ※内容は簡潔にしていますのでお相手の方との思い出もあれば加えてもよいでしょう!
■お取引先(知人)山口那奈様のご結婚祝い手紙■
さて この度はうけたまわりますれば 那奈様にはめでたく華燭の典を挙げられました由 心より深くお祝い申し上げます
那奈様には 実に良きご伴侶を得られ 仕事にも一段と磨きがかかることと存じます
まずは略儀ながら手紙をもちまして御祝申し上げます
敬具
◆結婚祝いの手紙では終わりを意味する句読点の使用は避けたほうがよいでしょう!
プライベート(かしこまった状況)で送る手紙の場合
このたびは、私の就職活動のことで大変お世話になりまして誠にありがとうございました。
プライベート(親しい相手)で送る手紙の場合
「父の日に贈るプレゼントに添える手紙」の一例です。 親しい相手へに手紙を送る場合は「折や折柄、この頃」などはあまり意識しすぎずに表現して手紙を作成するほうがのぞましいでしょう!!
■父の日に贈るプレゼントに添える手紙の場合■
梅雨の季節に入り、傘を持ち歩く日々が続いておりますが、お元気でしょうか。
娘のゆいこは相変わらず元気よく保育園にかよってます。最近は保育園から帰ってくると「雨だね!テルテル坊主くんはどうしてるのかな?」と話しているみたいです😊
夏休みには帰省する予定でありますので、よかったら一緒に遊んでやってくださいませ。
父の日なので心ばかりのプレゼントです。喜んでもらえると幸いです。
どうぞご自愛のほどを
ダッツ
6月の結びに用いる時候の挨拶
締めの挨拶に『時候の挨拶』を用いる場合についても見ていきましょう!
6月の差し出す手紙の締めで時候の挨拶を書くときに具体的にはどのような言い回しになるのか例文で紹介していきます。
固さが必要な手紙の場合
例)
・天候不順のみぎり、くれぐれもお体を大切になさってください。
・梅雨寒の時節柄、御風邪などお召しにならぬようおいといくださいませ。
・これから向暑の折柄、いっそうご自愛くださいませ。
一般的な手紙の場合
例)
・梅雨冷えの肌寒い日もありますので、体調を崩されませんよう、お元気でお過ごしください。
・うっとうしい毎日ですが、どうがくれぐれもご自愛ください。
・梅雨明けが遅れているようですが、どうぞ元気でお過ごしくださいませ。
フランクな手紙の場合
例)
・梅雨で運動不足になる日々が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
・うっとうしい毎日ですが、気持ちだけは爽やかに過ごしましょう。
・梅雨空を眺めて、あと少しの雨のシーズンを楽しみましょう。
最後に
6月は結婚式が多いので取引先のご担当の方が結婚した場合にはお祝い関連で手紙を書く機会があるかもしれませんね。
梅雨入りしてじめじめした天気が続いたりするかと思いますができるだけポジティブないいまわしになるように心がけていきたいものですね!
業務的な手紙や案内の手紙ではかしこまった形式にならざるを得ないですが、差し出すお相手が個人の方ですと6月の時期だからこそ感じる風情も少しばかしは取り入れた表現にできればよいと思います。
『時候の挨拶』は手紙の中でメインであるわけではありませんが、気の利いた挨拶は心温まる手紙には不可欠だと感じております😊