4月も初旬になりますと、桜の前で真新しい真っ赤なランドセルを背負った小学生の女の子がご両親と写真を撮ってもらっている光景をちらほらとみかけることがありますね。新年度の春を連想してしまうワンシーン!
私に至りましては・・・4月に異動になった営業部で見よう見まねでせくせくと手紙を書いていた苦い思い出があります💦当時はあまり調べる手段がなく時間がない中、外回りで比較的融通が利いたこともあり、仮病をつかっては本屋さんにいき4月の季語の本を探していた記憶があります(笑)
最近になり案内状や送り状などを作成する機会が増えてきたものですから。手紙を書くのが不慣れなときも振り返りながら4月に用いられる時候(季節)の挨拶についてポイントをまとめてみましたのでシェアさせていただきますね。
●基本的な4月の時候の挨拶
●4月に使える時候の挨拶をシチュエーション別に
●4月に用いる結びの『時候の挨拶』
基本的な4月の時候の挨拶
では、4月に用いられる時候の挨拶にはどのようなものがあるか❓見ていく前に、時候の挨拶についても簡単にふれておきますね。
手紙を書くうえルールというものがあります。手紙は前文・主文・末文・後付けの要素から構成されますが、前文の中でも頭語から書き始めると・・・次に『時候の挨拶』と続けるのが一般的になります。簡単にいえば、手紙で本文を書き始める前に記述する季節の挨拶です。
ここで大切なことは、「時候の挨拶」はどのような相手に手紙を送るのかによって、形式が異なる点です。ではどのようにことなるのかを以下3つに場合に分類して見ていきましょう。
②一般的な手紙の場合
③フランクな手紙の場合
①固さが必要な手紙の場合~漢語調~
こちらは、目上の方やお取引先に差し出す場合となります。
伝統的な手紙の格式を意識しているため漢語調の難しい言葉がでてきましたが、安心してください。
4月を表すイメージと大体の意味のイメージができると大丈夫です。
例 | 読み方 | 意味 |
---|---|---|
春爛漫の候 | はるらんまんのこう | 春になり桜の花が咲き乱れいるこの頃 |
仲春の候 | ちゅうしゅんのこう | 3月6日~4月4日の頃、徐々に暖かくなっているこの頃 |
春風駘蕩の候 | しゅんぷうたいとうのこう | 春の風がのどかに吹いているこの頃 |
麗春の候 | れいしゅんのこう | ヒナゲシの花が咲くこの頃 |
春日華麗の候 | しゅんじつかれいのこう | 美しい春の日になりましたこの頃 |
陽春の候 | ようしゅんのこう | 春らしい好季節のこの頃 |
~使い方~
オーソドックスな形は以下のようになりますよ!
➡書き出しの言葉 +「の候」or + 「のみぎり」
書き出しの言葉一覧
あとは差し出す企業の社風や肌感で「~の折」「の折柄」にかえてみたり微調整を行いましょう。
【ポイント】
・上の単語に「の候」「みぎり」や「の折」「の折柄」を加えればオッケーだよ!!
・用いられる時期は少し幅があるので確認しておこう!
②一般的な手紙の場合~和語調~
こちらは上の形よりも普段の言葉に近い言い回しとなりますので、気持ちが伝わりやすいです。上の漢語調と比べるとやや長い言い回しになることが多いでしょう。
ただ、基本的に丁寧に格式ばった形で書くのでしたら、①固さが必要な場合の手紙を意識してみてください。
例 | 時期の目安 |
---|---|
花冷えの日が続いておりますが、 | 上旬頃 |
期待に胸ときめかせる春をお迎えのことと存じます。 | 上旬頃 |
やわらかな春風に心華やぐ季節となりました。 | 上旬頃 |
花便りも伝わる今日この頃、 | 上旬から中旬頃 |
桜の花も美しく咲きそろい、 | 上旬頃 |
花の盛りもいつしか過ぎ、すっかり葉桜の季節となりましたが、 | 中旬頃 |
風に舞う花吹雪にうっとりする日々が続いておりますが、 | 中旬頃 |
こぬか雨に過ぎ行く春を惜しむ今日この頃、 | 中旬~下旬頃 |
うららかな春の日差しが心地よい季節となりました。 | 下旬頃 |
※地域や季節に応じて目安の時期は前後する可能性があります
③フランクな手紙の場合~和語調~
さあ、ここからは親しいかたと手紙をやりとりする場合となります。
普段の言葉遣いに近いものですのでイメージもしやすくなりますよ。皆様も4月になると目にする光景を想像しながらぜひ考えてみましょう。
●仕立て下ろしのスーツに身を包んだ新入社員の姿を見かけて、微笑ましく感じますね。
●入学式に向かうであろう初々しい学生の方を見かけて、清々しい気持ちになります。
●お花見のシーズンは毎年のことですが、気持ちよいものですね。
●川沿いを散歩してますと、満開の桜の下で花見客がにぎわっております。
●入社した会社のオリエンテーションでは、さっそくお花見での歓迎会がありました。
●花の盛りもいつの間にか過ぎて、少し残念な気持ちになってきました。
●転勤されて1か月がたちますね。新しい職場には慣れましたでしょうか。
●もうすぐ大型連休ですが、予定はたてられましたでしょうか。
●桜餅をおいしく堪能して、贅沢な春を過ごしてましたよ。
4月を表す単語やイベント
特に和語調の場合は、季節を表す単語やイベントを用いると
非常にバリエーションが増えるのでうまく使っていきたいね。
例 | 読み方 | 意味 |
---|---|---|
新たな門出 | あらたなかどで | 4月になり会社に入社や学校に入学するなど、新生活を迎えることを表す言葉 |
春爛漫 | はるらんまん | 春に花が咲き乱れることを表す言葉 |
卯花月・夏初月・清和月 | うのはなづき・なつはづき・せいわづき | 4月 |
花吹雪 | はなふぶき | 花びらが乱れ散ること |
つつじ | つつじ | 4月中旬~5月中旬まで咲くことがある花 |
お花見 | おはなみ | 春の風物詩 |
~使い方~
完成形 ➡ 「春爛漫の今日この頃、春爛漫の昨日今日、春爛漫な日が続いておりますが」
4月を表す文章や言い回しに「~の今日この頃、~昨日今日、~日が続いておりますが」を合わせて用いると完成です。
あとは差し出すお相手との関係性や肌感を考慮して微調整を意識していきましょう!!
4月に使える時候の挨拶をシチュエーション別に
ここからは4月の季節の挨拶を取り入れた手紙の例を紹介していきますよ。
せっかくですので4月に用いられることがあるような話題から例を作ってみました。ほんの一例ではありますが参考にしてみてください。
ビジネスで送る手紙の場合
4月といえば異動の時期ですね!下記は「取引先の○〇様の昇進祝いの」手紙の一例です。
手紙といっしょにお祝いのプレゼントなどもお贈りするのがいいでしょう。
■お取引先の○〇様のご昇進への御祝いの挨拶■
謹啓 仲春の折柄、○〇様並びに貴社の皆様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて、この度は○〇様が本社企画部本部長へのご栄転の由をお伺いいたしました。誠におめでとうございます。心より御祝い申し上げます。
次長の御在任中はご懇意いただきまして、重ねて感謝申し上げます。
今後は本社企画部本部長としてさらなる重責を担われることと存じますが、いっそうご健康が守られ、○〇様のご活躍を祈念しております。
まずは書中にて、御祝いを申し上げます。
敬具
プライベート(かしこまった状況)で送る手紙の場合
アトリエ・ダッツという「書斎画の個展を開催する」手紙の一例です。上記の例と比べるとやや一般的な表現になっていますが案内状ということもありビジネスよりの例ではございます。
■書斎画個展の開催のご案内の場合■
拝啓 希望にあふれるさわやかな春をお迎えのことと存じますが、皆様におかれましては、お変わりなくお過ごしのことと存じます。
さて、この度慎ましやかではございますが、書斎画の個展を開催いたします予定でおります。私単独での開催は初めての試みではございますので楽しみな気持ちも感じながら恥ずかしさもございます。作品自体は昨年から時間をかけて作ったものから自信がある25点をご覧いただけるようにしております。
ご多忙の折、大変恐縮ではございますが是非お越し頂けますと幸いです。私も期間中は在中しておりますので率直なご感想を賜りますと今後の参考になります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
記
会期
四月七日(木)~十三日(水) 九時~十七時
会場 アトリエ・ダッツ
プライベート(親しい相手)で送る手紙の場合
「入学について祖父母に伝える」手紙の一例です。
親しい相手へに手紙を送る場合は「折や折柄、この頃」などはあまり意識しすぎずに表現して手紙を作成するほうがのぞましいでしょう。
■大学の入学について祖父母にお伝えする場合■
おじいちゃん おばあちゃん へ
私の通う大学の近くの公園はすでに花見客でにぎわっています。おじちゃん、おばあちゃん、お変わりなくお過ごしでしょうか。
先週の5日、大学の入学式がありました。新しい生活を祝福しているかのような快晴の空の下で行うことができました。
新しい環境で今後四年間勉学に慎み、様々な人との出会いを楽しみにしております。
入学式の写真を同封いたしましたので見てくださいね。また、夏休みにお会いできるのを心待ちにしております。
どうぞご自愛のほどを
ダッツ
4月に用いる結びの『時候の挨拶』
今までは手紙の前文で用いる『時候の挨拶』をみてきましたが、ここからは末文で『時候の挨拶』を表現したケースとなります。
手紙を締める最後で記載する場合にはどのような言い回しになるのか具体的な例文を参考に見ていきましょう!
固さが必要な手紙の場合
例)
・花冷えの時節柄、御健康にはご留意くださいますよう、ご祈念申し上げます。
・期待に満ちあふれる季節、皆さまのご多幸をお祈りいたします。
・春色濃くなる折柄、皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
・新年度を迎えてご多忙とは存じますが、お体おいといくださいませ。
一般的な手紙の場合
例)
・新天地でのご活躍をお祈りいたします。
・春爛漫の心地よい季節、健やかなる日々をお過ごしください。
・さわやかな春の暖かさを感じる気持ちのいい季節になって参りました。
・心地よい時節ですが、風邪をひかないようにご注意ください。
フランクな手紙の場合
例)
・満開の桜が○〇さんの新たな門出を祝福しているかのように感じます。
・新年度に入り慌ただしい毎日でしょうが、どうぞお体ご自愛ください。
・もうすぐ大型連休が始まりますね。楽しい土産話を待ってますね。
・春のたけなわの気持ちよいこの頃、春風を感じにお出かけになってみませんか。
最後に
さて、『4月の時候の挨拶』をざっと整理していきましょう。
まず、差出人のお相手とどのような関係であるかが重要になります。
それによって①改まった形式、②一般的な形式、③くだけた形式、であるかを選ぶようにしましょう。
次は、4月の季語を含んだ時候の挨拶を完成しましょう。ビジネスですと決まった形式を用いることで十分です。仲がよかったりする場合は、季語をもちいながら丁寧にかつお相手にあわせた文章にすると気持ちがよく伝わりやすいです。
この2つを意識すると時候の挨拶の言い回しを用いる際にどのような形式を選べばよいかのイメージがしやすいでしょう。可能ならの地域柄や天候も調べているとより気持ちが伝わった手紙を書くことができます。4月の季節の挨拶をうまく活用してよい手紙ライフを😊
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